絵筆にひとつ、青色をすくう。
その上に雲を置いて、もくもくと描いた。
私が暖かさを閉じ込めてしまったから、周りは少し肌寒い。

少しするとぽつりぽつり、と水滴が垂れ、手もとの空を薄めていく。
頭上の空へ、色がにじむ。

そして今度、私は灰色を青に乗せた。

この青が暗くなる頃には、空はもうずいぶん前を走っているだろう。
真上と真下の、まるで追いかけっこみたいだ。