小雨の音にさえ掻き消されるような今の私の声など、
前を向いて、力強く歩いていった君には届くはずがない。
まだ君が、その服の裾に触れられる距離に居た頃、
もっとたくさんの言葉を交わせていたら、などと、
私は何度同じ後悔の気持ちに心を沈めたのだろうか。
足元を見ては、一人で伸びた私の影に君を探して泣いている。

君の住む町の名前が、君と同じように笑う顔がたまらなく痛くて、
今まで大好きだったものを見ても、ただ息が苦しくなるだけで。
抜け殻になった私の心には、その重みが辛すぎる。

それでもいつか君と自然に笑えるようになって、
声を聞いても泣かなくなるくらい強くなったら。
戻れない昨日を今日と一緒に包み込んで、歩き出せれば良い。